カメ 嘴過長
2025.09.24
カメ 嘴過長
カメの仲間は鳥と同様、歯を持たない代わりに角質でできた嘴(くちばし)を使って、餌を引きちぎり咀嚼せずに飲み込みます。嘴の形状は食性によって異なりますが、通常は下嘴が上嘴の内側に位置しています。嘴は爪と同様に成長しますが、上下の嘴が擦り合わさることで摩耗し形状を保っています。また、一般的に草食性のカメの方が肉食・雑食性のカメに比べて嘴の成長速度は速いため、嘴の過長やそれによる不正咬合は草食性のカメで多くみられます。
● 原因
・柔らかい食餌、食餌中の繊維質不足による嘴の摩耗不足
・カルシウムや紫外線の照射不足による代謝性骨疾患
・タンパク質の多給
・ビタミンA欠乏症
・外傷、口内炎
・肝疾患
● 診断
特徴的な嘴の形状を確認して診断します。また、不適切な食餌が原因のことが多いため、問診が大切になります。食餌内容や与え方、飼育環境、紫外線ライトの有無やライトの交換時期などを確認させていただきます。身体検査で嘴以外にも異常がある場合は、上記の疾患が原因の可能性もあるので、レントゲン検査や血液検査を行います。
● 治療
過長した嘴を正常な形状になるようにトリミングします。嘴の根元には神経や血管があるため、削り過ぎないように注意します。当院では歯科処置用のマイクロエンジンを使用して研磨することで、痛みやストレスを減らし短い時間で処置することができます。また問診をもとに原因となる食餌内容や飼育環境の指導も行います。
上嘴の過長(ヨツユビリクガメ)
嘴のトリミング





