クリプトスポリジウム症
2025.09.24
クリプトスポリジウム症
クリプトスポリジウムは原虫という寄生虫の一種で、魚類、両生類、爬虫類、鳥類および哺乳類といった様々な脊椎動物を宿主としています。爬虫類ではカメ目、ヘビ亜目、トカゲ亜目で報告されています。特にヒョウモントカゲモドキ(レオパードゲッコー)のクリプトスポリジウム症は国内の飼育頭数や流通が多いため、目にすることの多い病気の一つです。
クリプトスポリジウムは環境中ではオーシストと呼ばれる殻に覆われた状態で存在し、それを糞便や汚染された水、食餌などから経口的に摂取することで、消化管の細胞に寄生・増殖し胃炎や腸炎を引き起します。また、オーシストは塩素やアルコールなど一般的な消毒薬に抵抗性を持ち、効果はありません。
● 症状
・体重減少、削痩
・嘔吐、軟便、下痢
・食欲不振
・腹水による腹部膨満
・総排泄孔脱、直腸脱
● 診断
糞便検査にてオーシストを確認することで診断します。しかし糞便検査でのクリプトスポリジウムの検出感度が低いため、複数回実施する必要があります。また、糞便などから遺伝子検査(PCR法)によって検出することも可能です。
● 治療・予防
現在、爬虫類のクリプトスポリジウム症に対して根治治療は確立されていません。症状の改善や増殖を抑える薬や強制給餌、点滴などの支持治療が主体となります。また、感染拡大を防ぐため感染個体は隔離し、ケージや器具、餌用昆虫の使い回しは避けるようにします。消毒は64℃以上の熱湯で2分間以上行います。
痩せたヒョウモントカゲモドキ
治療後の同一個体





