モルモット 難産
2025.09.25
モルモット 難産
モルモットは他のげっ歯類やウサギに比べて難産を起こしやすい動物です。出産時の胎仔の大きさ、骨盤腔の狭さ、特徴的な恥骨結合などが原因とされています。
雌のモルモットは生後2~3ヵ月齢程で性成熟します。妊娠率は高く、交尾が行われると3分の2以上が妊娠に至り、1週間ほどで着床します。妊娠期間は59~72日、平均68日でウサギなどよりも長いです(ウサギの妊娠期間:30~32日)。産仔数は3頭前後で、新生仔は平均体重80~100gの過熟仔で目が開き、被毛が生えそろった状態で生まれます。
通常、生後7~8ヵ月齢までに妊娠したモルモットはリラキシンというホルモンの分泌によって、出産10日前頃に恥骨結合が拡がり始めます。恥骨結合は出産48時間以内では1.5㎝、分娩時には2.5㎝まで拡がります。生後7~8カ月齢までに未経産の雌では、恥骨結合がそれ以降に緩むことはありません。このため、モルモットの難産の多くは生後8~12ヵ月齢以降に初めて妊娠した雌に発生します。
出産直後の母体と新生仔
正常骨盤
● 症状
・食欲・元気の減退または廃絶、沈うつ、虚脱
・腹部膨満
・陰部からの排出物(血様または緑色)
・妊娠子宮や胎仔の圧迫による一時的な後肢の麻痺
● 診断
下記の検査を組み合わせて総合的に診断します。
| 検査 | 検査内容および目的 |
|---|---|
| 問診 | 交配の有無および時期、飼育環境内の同居個体の有無、飼育環境・食餌内容の確認 |
| 身体検査 | 腹部の触診、胎仔心音の聴診、体格や姿勢・歩様の確認 |
| レントゲン検査 | 胎仔の有無、胎仔の数および恥骨結合の拡がり具合の確認 |
| 超音波検査 | 胎仔の心拍動による生死確認 |
| 血液検査 | 全身状態の確認 |
レントゲン検査(○:胎仔)
超音波検査
● 治療
母体の一般状態や恥骨結合の緩みを確認し、帝王切開の適応かどうかを判断します。恥骨結合は拡がっている場合は、カルシウム剤や子宮収縮剤の投与を行います。内科治療に反応しない場合、または恥骨結合が拡がらない場合は速やかに帝王切開を行います。また、妊娠中のモルモットはビタミンCの要求量が増加するため、野菜やサプリメントを与える必要があります。
帝王切開
摘出した胎盤





