デグー 不正咬合
デグー 不正咬合
デグーは切歯(前歯)・臼歯(奥歯)ともにウサギやモルモットと同様に生涯伸び続ける常生歯と呼ばれる歯を持っています。切歯は食物を噛み切るのに役立ち、表面はミネラルの沈着により黄褐色~橙色をしています。臼歯は食物をすり潰すのに適し、下顎臼歯はやや内側に傾き、上顎臼歯は外側に傾いて位置しています。歯の数は全部で20本あります。
デグーの歯科疾患は非常に多く、全疾患のうち不正咬合などの歯科疾患が約60%を占め、さらに2歳齢以上になると75.8%にまで増加するという報告があります。また、デグーの歯科疾患(137例)のうち42%が臼歯の不正咬合という報告もあります。
不正咬合の原因は食餌と強い関連性があり、繊維質の多い牧草の食べる量が減ると、臼歯の摩耗が減り歯科疾患を誘発・悪化させてしまいます。食餌中のリンも歯科疾患と関連があり、リンが多く含まれる食餌を長期間与えることで重度の歯科疾患へ進行した報告があります。ケージの金網などををかじる癖がある子も、切歯が折れたり曲がったりします。
また上顎の切歯および臼歯の根っこ(歯根)が過長・石灰化すると鼻腔を閉塞し、くしゃみなどの鼻炎症状、呼吸困難や開口呼吸などの呼吸器症状、消化管のガス貯留による鼓脹症などの他の症状がみられる事があります。
● 症状
・食欲不振
・体重減少
・流涎(ヨダレ)、口を気にする、食べ方の変化、歯ぎしり
・脱毛、毛並みが悪い、湿性皮膚炎
・くしゃみ、呼吸困難、開口呼吸、お腹の張り(鼓脹症)
切歯の不正咬合と流涎
口を気にする仕草
● 診断
口腔内検査や頭部レントゲン検査を行い診断します。
正常な頭部レントゲン像
不正咬合の頭部レントゲン像
重度不正咬合の頭部レントゲン像
● 治療
過長した切歯および臼歯の切削や研磨を行います。切歯のみの過長であれば麻酔をかけずに行えますが、保定が困難な子や臼歯の処置は基本的に麻酔をかけて行います。デグーの歯は全て常生歯であるため、ほとんど場合繰り返し発症するため定期的な治療が必要となります。ニッパーなどを用いて切歯を切ると、過度な力が歯根に影響を与え、悪化する場合があるためおすすめしていません。
また、食欲不振などの不正咬合に関連した他の症状が認められる場合はそれらに対しての治療を合わせて行います。





