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カメ 下部呼吸器疾患(肺炎)

2025.09.24

カメ 下部呼吸器疾患(肺炎)

カメの肺炎の原因は感染性と非感染性に分けられます。感染性肺炎の原因は細菌、真菌(カビ)、ウイルス、寄生虫で、多くの場合は不適切な食餌や飼育環境、輸送のストレス、基礎疾患などによって免疫力が低下したことにより感染(日和見感染)します。特に幼体や若齢個体の肺炎では不適切な食餌や飼育環境が原因と思われるものが多いです。慢性的に症状が進行し、重度の衰弱や死亡することもあります。

感染性 細菌性 多くの場合が日和見感染症 リクガメのマイコプラズマ感染症
真菌性 多くの場合が日和見感染症
ウイルス性 ヘルペスウイルス感染症、ラナウイルス感染症
寄生虫性 吸虫、舌虫、線虫類の迷入症、コクシジウム症 頻度は低い
非感染性 異物の吸引、ビタミンA欠乏、外傷、腫瘍、卵黄性腹膜炎

症状

・食欲元気の低下
・異常な呼吸音(ピーピー鳴く)、口から泡を出す、開口呼吸、喀血
・鼻汁、結膜炎(主に陸棲種:インドホシガメ、ギリシャリクガメ、ヘルマンリクガメ、ヨツユビリクガメなど)
・水に入りたがらなくなる、傾き遊泳(主に半水棲種:ミシシッピーアカミミガメ、クサガメ、イシガメなど)

診断

問診で食事内容や温度/湿度などの飼育状況や換水や清掃頻度などの衛生管理を確認させていただきます。一般身体検査では栄養状態とともに、口の中を診て気管開口部の炎症、口内炎、分泌物の有無などを確認します。肺炎が疑わしい場合はレントゲン検査で肺の状態を評価します。粘液状の鼻汁等があれば採取し、菌培養検査で原因を特定します。重篤な場合は血液検査も行い全身の状態を確認します。カメの肺炎は原因を特定した確定診断が難しい病気ですが、上記の検査を総合的に評価して診断します。

治療

原因に対して抗菌薬や抗真菌薬を使用します。来院した時点で病状が進行している場合も多いため、治療が長期化する可能性があります。衰弱した個体は腸の動きが停滞するため、薬剤は経口投与より注射で投与する方が効果的です。

傾き遊泳(ミシシッピーアカミミガメ)

気管開口部(

肺炎のレントゲン画像(左肺の白色化: