Exotic Animal:Bird
鳥類のよくある症状や病気

オウム類の嘴・羽毛病

Psittacine Beak and Feather Disease:PBFD 

最小のウイルスの一つであるサーコウイルスが原因で、
羽毛障害や脱羽を引き起こし、末期には免疫不全を引き起こす恐ろしい病気です。

さらに厄介なことに、非常に感染力が強く、環境中にも長期間生存可能で、多くの消毒薬に抵抗性を示します。
3歳齢以下の多くのインコ・オウム類に感染する可能性がありますが、鳥種によって感受性が異なります。
感受性が高い鳥種 セキセイインコ、ヨウム、バタン、ラブバードなど
感受性が低い鳥種 オカメインコ
【症状】
・脂粉の減少
・脱羽、羽毛障害(羽軸内血液凝固、未成長羽など)
・嘴の異常(主に大型種)
・赤色羽毛(ヨウム)
・免疫抑制による易感染
羽軸内血液残留(セキセイインコ)
赤色羽毛と正羽の脱羽(ヨウム)
【診断】
確定診断は遺伝子検査(PCR)によるウイルスの検出になります。
当院では、お迎えしたばかりの幼鳥や若鳥の健康診断でPBFDの遺伝子検査をおすすめしています。

【治療・今後】
残念ながら、今のところPBFDの有効な治療法は確立されておらず、
大型種が発症した場合は予後不良です。

しかし、早期に発見し、免疫力を上げる治療をすることで、
セキセイインコでは陰性化することが報告されています。

疥癬症

小鳥の疥癬症はトリヒゼンダニというダニの感染によって引き起こされる皮膚の病気で、
セキセイインコで比較的多くみられます。

トリヒゼンダニは皮膚に穴を掘って生活するため、
鳥の身体から離れると長くは生きられません。
感染は鳥同士の接触によって伝播すると考えられています。
【症状】
・嘴、口角、ロウ膜、まぶた、脚部などに軽石の様なカサカサした白い塊(角化亢進)
・強い痒み(落ち着かない、足踏み、嘴を擦り付けるといった行動)
・病状が進行すると嘴や爪が変形・過長
・重度の場合は、衰弱死の可能性

【診断・治療】
診断は皮膚病変部を削り取ったり、セロハンテープを押し当ててダニまたはダニの卵を顕
微鏡で検出します。検出されない場合も、特徴的な病変から暫定的に診断・治療すること
もあります。治療は約2週間おきに駆虫薬を背中の皮膚に滴下します。
嘴、口角、まぶたの角化亢進() 
トリヒゼンダニ

マクロラブダス症(メガバクテリア症)

マクロラブダスは子嚢菌類と呼ばれる真菌(カビ)の一種で、主に消化器症状を小鳥に引き起こします。
メガバクテリア症やAGY(Avian Gastric Yeast)症とも呼ばれています。
鳥種によって、感受性や症状が異なります。
重篤な症状がみられる セキセイインコ、ヨウム、バタン、ラブバードなど
幼若鳥または免疫低下個体で症状みられる オカメインコ
ほとんど症状がみられない 文鳥、ラブバード
特にセキセイインコは高い感受性を示し、
6ヵ月齢未満のセキセイインコの国内保有率は76.9%という報告があります。
感染は親鳥から幼鳥への吐き戻しによる給餌、鳥同士の食糞、求愛給餌などにより拡がります。
【症状】
・胃炎症状
吐き気、嘔吐、食欲不振
腹痛行動(沈鬱、膨羽、股を開きお尻を上げる、腹を蹴る)
胃潰瘍による胃出血がある場合は黒色便

・消化不良
粒便(未消化便)、食欲はあるが痩せる

・通過停滞
そ嚢のうっ滞、嘔吐、痩せる
【診断・治療】
糞便検査から直接顕微鏡で検出することで診断します。

治療は抗真菌薬を使用しますが、治りにくい場合は他の抗真菌薬を併用します。
症状がある場合は、対症療法として胃炎の治療も行います。
マクロラブダス() 
腹痛行動(セキセイインコ)